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家事調停の進め方について
離婚や婚姻費用・養育費、面会交流等の家事調停の進め方についてお話したいと思います。
家事調停は、裁判官か調停官1名と調停委員2名で組織する調停委員会が主宰して、話し合いを進める手続となります。
主に話し合いをするのは調停委員2名であり、裁判官や調停官は要所要所で評議を開いて方針を協議を行っています。
調停委員2名は、司法試験に合格した法曹資格者ではないのが一般的であり、社会経験のある男女一人ずつとなります。
調停委員は仕事熱心で丁寧に対応をしてくれるのですが、法律の専門家ではなく中立な立場であるため、こちらの思い通りに調停が進まないのが一般的です。
また、調停のやり方としては、申立人・相手方の意見を交代で聞き取ることが一般的です。
家事調停においては、以下の3つのことを意識して進める必要があります。
①調停委員との間で円滑なコミュニケーションをとり、信頼関係を構築する
②当方の意見を明示して、書面でこまめに提出する
③調停条項についてはたたき台を当方から提出する
①については、調停委員に対して横柄な態度を取ったり、いい加減な対応を取ったりすると、当方の意見を正確に聞いてくれることはまずないと考えていいでしょう。調停委員は、熱意があり、話し合いをまとめることで紛争を解決し、社会貢献しようという意識の高い立派な方です。その方達、横柄な態度や強引な主張、約束を守らないいい加減な姿勢を取ることは絶対にしてはいけません。調停委員を尊重し、調停委員の立場を理解してコミュニケーションを取ることが重要です。
②については、法律的な内容を含む主張を書面を提出しないで調停で伝えようとすると以下の事が起きます。
第一段階 調停委員に口頭で説明して理解してもらう
第二段階 調停委員が相手方に聞いた内容を説明する
第三段階 調停委員が相手方の反応を聞いて伝える
これらの三段階で誤解や行き違いが生じることは多々ありますし、時間がかかります。
こんなプロセスを漫然と過ごすのはセンスがないと思いますし、調停委員にも迷惑がかかります。
主張したいことはこまめに書面で裁判所と相手方に提出すれば、当方の主張を前提に相手方の反応をダイレクトに聞くことができます。
③については、調停がまとまりつつある状況において、当方から調停条項案を作成して提示することで有利な進め方をするということです。相手方や裁判所の提案するたたき台をベースにしてしまうと、当方の主張が盛り込まれておらず、不満が残ることになりねません。手間を惜しまずに調停条項案を適切なタイミングで提示するべきです。
調停においては、申立人や弁護士が主体的に調停をリードする姿勢が何より大切です。漫然と調停に出席するだけでは何も得られません。裁判所任せではなく、自分の責任で調停を進めるという意識を持つべきです。
文責 伊藤